お寺の本堂・庫裏(クリ)建て替え 建立工事
第三巻 刻み仕事・装束修復・建て前前半の巻


角の柱を丸に すす 手鉋で仕上げて
 今回は、復元という意味深い仕事もあります。
2頁前の第一巻の旧本堂の向拝柱を見て下さい。
黒く古びて誰が見てももう使えないって感じです。
が…恐るべし!棟梁の指示でケヤキの角柱を
丸に削り込むことになりました。素材を見て生かせる
発想が浮かぶのは、やはり長年の経験と感ですね。





 200余年も本堂の顔として君臨してただけに
そこいら中にヒビや割れがあります。しかしこれだけ
乾燥していれば、もうこれ以上、狂う(大工用語で
変形するという意味です)ことは、ありません。
特殊な接着剤とハタ金(バイスのような道具)で
極力割れを戻し、少しのヒビ等は、木工パテで補修
していきます。また、大まかに電気カンナで削って
おいて手カンナで仕上げます。
表面の保護には、純植物オイルを塗布します。


紙巻仕事 刻まれた木材
 こちらでは…棟梁が、化粧の構造材に紙を巻いて
養生しています。仕事忘れがないか?1本1本を
チェックしながらの作業です。


 刻まれた構造材は、工場の隅に積み上げられて
いきます。向拝の出組みも見えますね!(^o^)



屋根タル木を段取りして 洗濯せんたく!
 屋根タルキの木造り(寸法加工のこと)が、できた
ところで今度は、長さや仕口(取り付け形状)を加工
していきます。お寺の屋根は、軒の出が大きいので
上からの荷重に耐える背の大きなタル木を使う
ことになりました。寸法、2.5寸×1.7寸のヒバ
です。よく、日曜大工等で素人さんが、作ったものを
拝見すると背と厚みを逆に使ってしまう失敗が、
多い様です。(笑)  そこで
STUDY!
 力の加わる場所への木材の使い方は…
とにかく荷重に対して大きい寸法の辺が、垂直になる
ように配置しよう!


 絵は、戻って…復元のお話です。
今度は、最初の柱の様に削れない化粧や細工の
施してある木材の復元です。これは、海老虹梁
言って向拝柱と本堂を連結する梁ですが、手前の
梁が、取り外してそのままの状態です。いわゆる
beforeです。真っ黒ですね!これらのほとんどの
原因は、カビの仕わざなのです。そして後ろに少し
見えているのが、1度洗い、途中経過のものです。
この段階でもすでにかなりの汚れが落ちています。





洗濯前 ビフォー 洗濯後 アフター
 パーツは、変わりますが…分りやすく、
これが、先ほどのbeforeです。(洗浄前)






 そしてこれが、洗浄2回後、乾燥した状態です。
どーですか!めちゃきれいになったでしょ!
これに保護オイルを塗って仕上げます。
いわゆる
afterですね!
保護オイルを塗ると少し赤みが出てしっとりした
感じに仕上がります。


洗濯中! 獅子も洗濯して
 では、洗浄作業を見てもらいましょう!
マスクをかけて作業してるのは、棟梁!ぎゃははっ!
この人、ホンとに何でもやりたがる人ですね〜(笑)
30年も大工してると大工仕事に飽き飽きして色んな
ことにチャレンジしたいらしいです。(^o^)
特殊な洗浄液をハケで丁寧に塗りしばらくおいてから
水道水で洗い流します。これを2回も繰り返せば、
右上画像のようにきれいになります。
臭い臭いと言いながらも楽しそうにやってます。
楽しいくらいじゃなきゃ!
良い仕事は、できませんからね!最もです。ハイ。
筆者もHPを書くのが、楽しみで〜す(笑)


 そして、棟梁が、夢にも出てくるくらい毎日、見つめ
合ってる「あ」「うん」の獅子です(笑)
「あ」「うん」とは、口をあけて「あ」と言ってるような
表情の方は、生まれてくるときを表現したもの。
そして、「ん」は、口を閉じた状態で死んだときを
表現したものと言われます。「あ」は最初、「ん」は、
最後ですね。こうした人間にとって身近な出来事が、
お寺の建築にも表現されてておもしろいですね〜!
画像は、洗浄液を塗ったところです。





色付けです 口を書いて
 ケヤキと言えども木彫ですから、やはり爪などの
細かい部分に腐れがありました。芯のしっかりした
ところまで削り木専用パテで補修します。そして、
今度は、カラーリングです。爪、口、目の下地となる
ベースカラーの白を塗ったところです。


 かっかっか!(爆)やってますねー!
とうとう棟梁は、獅子、象を事務所まで持ち込んで
仕上げにかかりました。口の赤を塗っているようです。
しかし、楽しそうですね〜(^o^)



目を入れて 目を入れて2
 目を入れているところです。真剣ですね!
私どもは、お寺プロジェクトのために多くの社寺建築
文献を読みあさり、そして、観れるお寺は、とにかく
観て歩きました。棟梁担当のこの獅子、象もお寺に
よってかなり違いがあり、特に昭和に入ってから
適当に復元した形跡のある目に力のないものも
たくさん観ました。我々のお寺もそうでした。
もともと美術好きな棟梁は、とにかく良い表情を
出せればっ…!と熱っぽいい語り口で筆を運んで
いました。


 目入れ作業の拡大です。パソコンでは、分りにくい
かも知れませんが、色使いにも格別な配慮が、
あるそうです。

 完成をお楽しみに〜♪







足場工事 建て前開始!
 さぁ〜て現場では、建て前の準備と足場組立ての
作業が進みました。刻まれた材木は、現場へと運ばれ
ブルーシートに覆われて建て前を待ちます。


 いよいよ建て前の開始です。前日に出来る限り
組み立てられた構造材をレッカーで起こします。
今は、ボルトで仮締めできますのでかなりの量の
材料を組み立てておけます。組める場所があっての
ことですが…^^;


周りから組立てます 出番待ちの材料
 レッカーで吊るされ東西南北、周りから構造材が、
組みつけられていきます。この日は、熟練の大工が、
7人がかりで作業が進められました。


 今か今かと出番を待っている材料達です。
ブルーシートの山が、減っていくに連れホッとします。



中梁を落として 間草入れです
 どぉ〜ですか!迫力ある画像でしょ!?
筆者(カメラマン)は、毎度、建て前に加わりながらの
撮影ですからね〜同じ目線で撮影するのがポイント
です。(^o^)しかも次にどんな作業、どんなパーツが、
組み込まれていくかを把握してますからね!エッヘン
画像は、巨大欄間を組み込む為の大黒柱と中梁を
組み付けているところです。


 棟梁は、間草(通常の家屋で鴨居にあたる部材)
を組み付けています。これらは、下に建具やサッシ
の付くものもあれば、タレ壁止めとしてだけの物も
あります。いずれにせよ化粧(きれいに削って仕上げ
を見せる)木ですから丁重に扱う必要があります。
通常の薄物の鴨居と違って構造材に分類される
間草を入れることで間が広く筋交いを入れるべき
壁量の少ない建築物の
筋交い強度が増します


繋ぎ梁を入れて 小屋丸太を落とし込み
 細かい梁もレッカーで1本づつ揚げてもらい現場
に組み付けていきます。画像は、我々の兄弟弟子
即ち、私どもの親方(父親)のお弟子さんです。


 小屋丸太(屋根荷重を支える梁)を組み付けます。
写真では、2人ですが、玉掛け(材木を縛る)をする人
レッカーさんの合計4人で進められています。


休憩までにこれだけできました! ボルトを締めて
 そろそろ休憩で〜す!みなさん降りてくださぁ〜い!
って感じで1枚パチリ。現場がきれいでしょ!?
実は、これが、我々の安全対策なのです。



 休憩後…先ほど落とし込んでいった梁にボルトを
組み付けていきます。我々は、ボルト仕舞いと
言いますが、寝起こし(建物の傾きを調整する作業)
までに行う大切な作業です。


筆者も頑張ってまぁ〜す! 小屋束の取り付けです
 おぉ〜地下足袋姿でイナセなおっさん!
筆者の登場です。(^o^)ネクタイ姿があるかと思えば、
タオルヘルメットに作業着で忙しいおっさんです。
HPを書いていても私が、撮影してるので登場が、
少なく寂しいので職人さんに頼んで作業風景を
撮ってもらいました!^^ 画像は、隅木(寄棟・入り
母屋などの屋根形状で斜め対角に入る構造材)
の落とし口を微調整してるところです。
腰には、カメラバックと大工道具!普通、カメラマンは
こんな場所にいないでしょ!?(笑)ってか、普通の
人ならこんな高所で足場もないところに立っている
ことすらできないと思います。
作業としては、私の場合…
特に指示もないのですが、出来ることをコツコツと
やっています。大工歴は、20年ですから、いちお。


 小屋束(母屋という構造材を受ける短い柱)を
組み付けてっと建て前も中盤を向かえました。

 後半戦をお楽しみに〜













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